2010年11月23日
古井 祐司
先週末、社会医学系の学会と臨床医学系の学会の共同で、『医療情報を活用した治療・予防は病気(生活習慣病)の管理を変革させるか』という趣旨のシンポジウムが浜松で開催され、糖尿病・代謝内科学の権威や医療情報学の専門家、国の方々とともに登壇させていただきました。
はじめに、何のための予防なのか、という大テーマが提起されました。
こちらは、『健康になること、医療費を削減することが目的ではない。ひとが元気でいることで仕事 や生活が生き生きとし、地域・企業といった社会の活力があがることに寄与するため』という認識で全員が一致しました。
次に、いまの日本の問題点としては、患者および予備群が増え続けており、いずれの層にも予防・治療の網から放置されている空白地帯が存在すること、が整理されました。
そのうえで、課題を解決する方向性として、
(1) 国民個々への動機づけを徹底すること
(2) 病気の罹患防止に加えて、重症化防止を一体化すること
が示されました。

図 保健事業の評価の考え方 (緑色の項目は今後の必要項目として挙げられた指標です)
(1)に関しては、生活習慣病は痛みを伴わず個々では自覚がないことから、加齢に伴うリスクや予防の必要性が自分ごとになるような働きかけが不可欠である、ということです。
(2)は、日本人は受診勧奨域になってから治療に入るまでの時間が非常に長いという特徴を背景に、できるだけ早期に必要な医療システムに乗せることと同時に、治療の中断を防ぎ、ある程度落ち着いた被保険者に関しては保険者がモニタリングしていくことが重要になります。
医師のチェックが必要である点を除けば、これは患者層だけでなく、被保険者全体に適用できる保健事業の考え方です。
今回、私からは先行的な健保・共済・国保の保健事業と、国保連合会や推進する会で実施されているデータ分析および活用のモデル的な取り組みにも触れましたが、予防・治療が必要なひとに届く効率的な医療保険システムの実現には、まさに医療保険者と医療機関との連携モデルが大切であることを認識できました。
予防医学に携わるあらゆる分野の専門家が、確信を持ってこの取り組みを進めることが出来る環境が整備されつつあることを感じました。
